味噌作りで「麹」につまずくポイントは大きく2つあります。ひとつは生麹と乾燥麹のどちらを使うか、もうひとつは米麹・麦麹などの種類の違いです。
結論から言うと、生麹と乾燥麹の違いは計算上「煮汁を足すかどうか」だけで、麹の重さそのものはどちらもそのまま分量計算に使います。米麹・麦麹・豆麹の違いは分量ではなく味の系統を決めます。この記事では、それぞれの違いと、麹の量の目安である「麹歩合」の考え方を、手作り味噌の分量の基本で解説した大豆・塩との関係とあわせて整理します。実際の数値は手前味噌計算ツールで麹の状態と種類を選ぶだけで自動計算されます。
生麹と乾燥麹の違いは「水分量」と「煮汁の要不要」
生麹は水分を多く含んだ状態の麹で、乾燥麹は生麹を乾燥させて保存性を高めたものです。分量計算の上で違うのは次の1点だけです。
- 生麹:投入する重量をそのまま計算に使う。煮汁は加えない
- 乾燥麹:投入する重量はそのまま計算に使う(生麹と同じ扱い)。ただし水分が少ない分、大豆を煮たときに出る煮汁を仕込みに加える
以前は「乾燥麹は生麹に対して重量を1.25倍換算する」という考え方もありましたが、投入する重量そのままを使い、その代わり煮汁を材料として別枠で加える方式のほうが実際のレシピに近いことがわかっています。手前味噌計算ツールもこの考え方で計算しています。
| 麹の状態 | 麹の量 | 煮汁 | 塩 | 出来上がり量 |
|---|---|---|---|---|
| 生麹 | 1,000 g | なし | 465 g | 約3.9 kg |
| 乾燥麹 | 1,000 g | 200 g | 490 g | 約4.1 kg |
※煮汁の比率(麹重量の0.2倍)は大豆を煮た煮汁を使う前提の目安です。仕込み環境によって前後します。
表のとおり、麹そのものの量は変わらなくても、乾燥麹を使うと煮汁の分だけ材料全体が増え、同じ塩分濃度でも必要な塩の量と出来上がり量が変わります。この差を自分で電卓計算するのは手間なので、手前味噌計算ツールで麹の状態を切り替えて確認するのが確実です。
市販の乾燥麹のパッケージによっては、そのまま使えるタイプと、少量の水で戻してから使うことをすすめるタイプがあります。戻す場合は、戻したあとの重さではなく、パッケージ記載の乾燥時の重量を基準に計算するのが基本です。迷った場合は商品パッケージの使用方法を確認してください。
麹の種類(米麹・麦麹・豆麹)は味の系統を決める
麹の種類は分量の計算式には影響しません。どの種類でも計算方法は同じで、変わるのは仕上がりの味の系統です。
- 米麹:もっとも広く使われている麹。全国的にバランスの良い味に仕上がりやすいタイプです。
- 麦麹:九州や四国でよく使われる麹。米麹に比べてまろやかな甘みが出やすい傾向があります。
- 豆麹:大豆から作る麹で、東海地方の豆味噌などに使われます。色が濃く、コクの強い味わいになりやすいタイプです。
米麹の特徴についてさらに詳しく知りたい方は米麹の特徴と選び方の解説記事もあわせてご覧ください。麹の種類を変えても、大豆・塩との割合の考え方自体は同じです。
| 種類 | 味の傾向 | よく使われる地域 |
|---|---|---|
| 米麹 | バランスが良く、クセが少ない | 全国的に広く |
| 麦麹 | まろやかな甘みが出やすい | 九州・四国など |
| 豆麹 | 色が濃く、コクが強くなりやすい | 東海地方など |
麹歩合(割合)は好みで変えていい範囲がある
麹歩合とは、乾燥大豆の重さに対して投入する麹の重さの割合のことです。大豆と同じ重さなら「10割」、大豆の2倍量なら「20割」と数えます。目安として5割から30割程度の範囲で調整され、10割・15割・20割あたりがよく選ばれる水準です。
- 麹歩合を増やす(15〜20割程度):麹由来の甘みが強く出やすく、熟成の進みも早く感じられる傾向があります
- 麹歩合を減らす(5〜10割程度):大豆そのものの風味がしっかり残る、どっしりした味わいになりやすい傾向があります
麹歩合を変えると、同じ塩分濃度でも必要な塩の量(全体の重さが変わるため)も変わります。塩分濃度そのものの決め方は手作り味噌の塩分濃度の決め方で解説しています。麹歩合と塩分濃度の両方を自由入力できるので、好みの組み合わせを試す際は手前味噌計算ツールで数値を動かしながら確認するとわかりやすいです。
米麹・麦麹・その他の種類、生麹・乾燥麹の状態、麹歩合5〜30割を自由に選べます。組み合わせを変えるとその場で大豆・塩・煮汁の分量が更新されます。
手前味噌計算ツールを使ってみる生麹と乾燥麹、どちらを選べばいい?
味の系統だけで決めるより、扱いやすさで選ぶ方が失敗が少なくなります。
- 生麹:日持ちが短いため、購入したら早めに仕込みに使うのが基本です。仕込む日程が決まっている場合に向いています。
- 乾燥麹:常温保存がしやすく、購入から仕込みまで多少余裕を持てます。仕込みの時期を計画的に決めたい場合に扱いやすいタイプです。
「その他」の麹を使う場合の考え方
米麹・麦麹以外にも、地域や作り手によってさまざまな麹が使われます。計算上は「その他」を選んでも米麹・麦麹と同じ式で分量が決まりますが、表示されるラベルが「麹」という表記になるため、仕込みメモには自分でどの麹を使ったかを書き添えておくと、次回以降の管理がしやすくなります。
また、麹の入手方法によっても選びやすさが変わります。乾燥麹はスーパーや通販で通年手に入りやすく、常温保存がしやすいため、初めて仕込む場合はまず乾燥麹から試すと段取りを組みやすいです。生麹は麹屋や専門店での取り扱いが中心で、購入時期が限られることもあるため、仕込み日程が決まってから逆算して手配すると安心です。


