「飲みすぎた翌朝、なぜか味噌汁が飲みたくなる…」
そんな経験はありませんか?
実は、味噌汁は科学的にも二日酔いに効果的といえる飲み物なのです。
この記事では、味噌汁が二日酔いの身体にどう作用するのかを栄養学の視点から解説します。二日酔いからの回復を助ける具材やレシピも紹介。つらい朝を乗り切るヒントにしてみてください。
二日酔いに味噌汁が効く理由
味噌汁に含まれる水分や塩分、アミノ酸や発酵の力は、二日酔いで乱れた身体のバランスを整えることに役立ちます。厚生労働省などの公的なデータをもとに、なぜ味噌汁が二日酔いに効くのかを解説していきます。
アルコールによる脱水とミネラル不足の補給源となる
アルコールの利尿作用によってお酒を飲むとトイレが近くなりますが、そのとき尿と一緒に失われるのが、身体に必要なナトリウムやカリウムなどのミネラルです。この水分とミネラルの不足が、二日酔いによくある頭痛やだるさの原因になります。
味噌汁は水分と塩分を同時に補えるものであり、身体のバランス回復をサポートしてくれる飲み物になります。
味噌のアミノ酸と発酵成分が肝臓をサポートする
お酒を飲んだあと、体内では肝臓がアルコール分解を行います。肝臓が働くためにはアエネルギーや栄養素が必要で、なかでもアミノ酸がとても大切な働きをしています。
味噌は、つくられる過程でたくさんのアミノ酸(グルタミン酸・アラニンなど)が自然に増えていく発酵食品です。これらアミノ酸が肝臓の働きを助け、アルコールの代謝を後押ししてくれるのです。さらに、味噌に含まれる乳酸菌や酵母は腸の健康や代謝機能に良い影響を与えることが研究されています。
味噌汁は、肝臓と腸の両方をやさしくケアしてくれる頼れる存在といえるでしょう。
二日酔いにおすすめの味噌汁の具材とは?
味噌汁が二日酔いに効くのは、汁だけの力ではありません。どんな具材を組み合わせるかによって、身体の回復力がぐっと変わります。
食欲がわかないときでも、味噌汁なら食べられるということもあります。肝臓をいたわるもの、弱った胃腸にやさしいもの、エネルギーを補うもの。飲みやすさと栄養価を両立できる具材を使えば、朝の味噌汁は頼もしい一杯になります。
ここでは、特におすすめしたい具材の種類を紹介します。
肝機能を助ける「しじみ」や「あさり」などの貝類
「二日酔いにはしじみ汁」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。しじみやあさりには、肝臓の働きを助けるとされる「オルニチン」や「タウリン」が多く含まれています。これらの成分は、アルコールの分解や代謝をサポートし、肝臓の負担を軽くする働きがあります。
とくにオルニチンは、血中アンモニア濃度を下げる働きがあることが研究されており、肝機能が落ちたときにはとりたい栄養素です。
消化にやさしい「豆腐」「わかめ」「大根」などの基本具材
お酒を飲んだ翌朝、胃がムカムカする時は、消化しやすい具材を使った味噌汁がおすすめです。
豆腐は胃に負担をかけにくい良質なたんぱく源で、胃腸が弱っているときでも無理なく食べられます。わかめは水溶性のミネラルを含み、失った栄養素を補ってくれます。さらに大根は、食物酵素「ジアスターゼ」を含んでおり、胃の働きを助けてくれる食材として昔から知られています。
これらの食材は、どれも火の通りが早く、調理が手軽なのも嬉しいポイント。朝起きてすぐでもさっと作れて、身体にやさしい味噌汁が完成します。
エネルギー補給に「卵」や「じゃがいも」をプラス
お酒の分解には多くのエネルギーを使うため、身体が疲れていたり、低血糖気味になっていたりすることもあるため、エネルギーそのものの補給も大切です。
卵やじゃがいもといったエネルギーを補える具材たちをいれることも有効です。卵は必須アミノ酸をバランスよく含み、たんぱく質源として非常に優秀な食材。じゃがいもには炭水化物とビタミンCが含まれ、身体に負担をかけずに効率よくエネルギーを接種できます。
二日酔いのときに味噌汁を飲むベストな時間帯
味噌汁が二日酔いの回復に役立つとはいえ、いつ飲むかによって効果の感じ方は変わってきます。
起き抜けか、それとも飲んだ直後か、身体の状態やアルコールの代謝リズムをふまえた、味噌汁を飲むおすすめのタイミングを紹介します。
起き抜けに飲むことで失われた水分・塩分をリカバー
お酒を飲んだ翌朝の身体は、アルコールの強い利尿作用で、水分とともに身体に必要なナトリウムなどのミネラルも一緒に排出されている状態です。
お酒を飲んだ’翌朝に口にするものとしておすすめなのが、温かい味噌汁です。水分と塩分を同時に補えるうえに、熱い汁物は胃腸をやさしく刺激し、食欲を少しずつ取り戻すきっかけにもなります。
前日の飲酒後に飲むことで翌日の不調を軽減する
味噌汁は、飲んだ翌朝の回復だけでなく、予防にも使える存在です。
お酒を飲んだ直後は、まだアルコールが体内に残っている状態です。ここで味噌汁を1杯飲んでおくことで、就寝中の脱水や低血糖のリスクを軽減することにつながります。
飲んだあとのシメにラーメンやおにぎりなど重めのものを食べる代わりに、消化のよい味噌汁を選べば、胃腸への負担も軽く済みます。
二日酔いのときにおすすめの味噌汁レシピ集
二日酔いの朝は、なるべく手間をかけずに身体にしっかり効くものを摂りたいもの。そんなとき、簡単に作れて栄養バランスのよい味噌汁はまさに理想の一杯です。
ここでは、肝臓サポート・胃腸にやさしい・エネルギー補給といった目的にあわせて、すぐに作れるレシピのアイデアを紹介します。
二日酔い明けの基本の味噌汁3選
【しじみ味噌汁】
しじみはオルニチンや鉄分が豊富で、肝機能サポートに役立つ食材です。水から煮出すだけで貝の旨みが出汁になるので、出汁を追加でいれなくても美味しく飲めます。
【わかめと豆腐の味噌汁】
乾燥わかめ+豆腐は、時短で作れるうえに胃腸にもやさしい定番の具材です。わかめのミネラルと豆腐のたんぱく質が、アルコールで疲れた身体にしみわたります。
【卵入り味噌汁】
熱々の味噌汁に、生卵をいれてかき混ぜるだけでかきたま汁のできあがり。たんぱく質がプラスされ栄養価はアップし、まろやかで食べやすく食欲がない朝にもぴったりです。
薬味でアレンジ|しょうが・ねぎ・梅干し
味噌汁にちょい足しするだけで、回復力をさらに底上げしてくれるのが薬味や発酵食品です。
・しょうが:身体を内側から温め、血行を促進。冷えや吐き気の緩和にもつながります。
・ねぎ:疲労回復・抗菌作用が期待でき、鼻や喉にもやさしい薬味です。
・梅干し:クエン酸による疲労軽減効果があり、食欲がないときに酸味が食欲を刺激してくれます。味噌汁に1個ほぐして入れるだけで、風味も引き締まります。
薬味は効かせすぎないくらいがちょうどよく、好みに合わせて量を調整しましょう。
【常備必須】二日酔いにおすすめインスタント味噌汁3選
「今日はもうキッチンに立てる気力がない…」
そんな二日酔いの朝に役立つのがインスタント味噌です。常温で保存でき賞味期限が長いものを選ぶと、二日酔いの朝だけでなく体調が悪い日の朝にも役立ちます。
自分のお気に入りのインスタント味噌汁を常備しておきましょう。
宮古島の最強二日酔い対策!鰹ちゅう汁
沖縄宮古島のソウルフードと言われる「鰹ちゅう汁」。原材料は鰹と味噌というとてもシンプルなことが信じられないくらい、鰹のガツンとくる力強さは二日酔いの朝にピッタリ。
泡盛などお酒を飲む文化が色濃い宮古島でも、二日酔いの朝に必ず飲むと言われています。
お湯で溶くだけで調理も簡単。具材を入れなくてもおいしい味噌汁です。
永谷園 1杯でしじみ70個分のちから
二日酔いには定番人気の一品。しじみの味わいがアルコールで疲れた身体に染み渡ります。コストパフォーマンスもよく、フリーズドライで長期保存できることも嬉しいポイント。
気軽に飲める量と手軽さで、飲んだあとのシメの代わりに、二日酔いの朝に、いろんなシーンで活躍します。
世田谷自然食品 極みのだし 減塩おみそ汁
いろんな具材が詰め合わせになったのが嬉しいポイント。気分や体調に合わせて具材を選ぶことができます。減塩なのに物足りなさを感じさせずに飲めることも特徴です。
お酒を飲む方には、もらって嬉しいミニギフトにもなります。
注意すべきポイント|味噌汁にも落とし穴がある?
味噌汁は身体にいいからといって、無制限に飲んでしまうのは控えましょう。特に二日酔いの時は、身体が敏感な状態です。味噌汁を飲むうえで気をつけたいポイントを2つ紹介します。
塩分過多にならないための飲み方と1日の目安量
味噌汁は塩分の補給に役立ちますが、摂りすぎると逆に身体に負担をかけてしまうこともあります。特にアルコールを多く摂った翌日は、すでに体内のバランスが乱れているため、塩分の摂りすぎによるむくみや血圧上昇に注意が必要です。
一般的に、1杯の味噌汁に含まれる塩分はおよそ1.2〜1.5g。厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は、成人男性で7.5g未満、女性で6.5g未満とされています。
二日酔い時は、一回に飲む味噌汁は1~2杯までが目安。ほかの食事とあわせて、全体で塩分の摂りすぎにならないように意識しましょう。。
味噌汁と一緒に摂るべき食材・水分
味噌汁は二日酔いの身体にとって非常に優れたサポート役ですが、回復のすべてを担うわけではありません。水分、糖質、ビタミン、たんぱく質などをバランスよく補っていくことが、体調を整える鍵です。
たとえば、以下のような食材・飲み物を組み合わせると、より効果的に早期回復につながります。
・水や経口補水液:脱水状態の改善に最適
・バナナ:糖質とカリウムを同時に補えるフルーツ
・ヨーグルト:腸内環境を整える乳酸菌が豊富
・おかゆやオートミール:消化がよくエネルギー源としても優秀
味噌汁は回復のきっかけとして、他の栄養素も意識的に取り入れていくことが、二日酔いからのリカバリーをぐっと早めてくれます。
味噌汁を飲んだ翌朝の最強の味方にしよう
飲みすぎた翌朝に味噌汁が飲みたくなるのは、身体が自然と回復を求めているサインかもしれません。
水分・塩分・アミノ酸をバランスよく補える味噌汁は、二日酔いの強い味方。無理のない範囲で、やさしい一杯を取り入れて、次の日を少しでも軽やかに迎えましょう。